【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】風ドラムサウンドの作り方＋使用機材セッティングまとめ｜セット・スネア・シンバル・ペダル

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【Jon Theodore】The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ） 始めに

Jon Theodoreは、プログレッシブロックバンド「The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）」の初期メンバーとして活躍したドラマーです。彼の特徴的なプレイスタイルは、ジャズやラテン、ハードロックの要素を融合させた複雑なリズムパターンと強力なグルーヴ感で知られています。特にダブルバスドラムを使った鋭いフットワークと、複雑な拍子やテンポチェンジに対応できる高度なテクニックは多くのドラマーから尊敬を集めています。

The Mars Voltaの音楽性は実験的なプログレッシブロックを基盤としながら、サイケデリック、ジャズフュージョン、ラテン音楽の要素を大胆に取り入れています。Theodoreはそのような複雑な楽曲構成の中で、バンドの方向性を支える重要な役割を担っていました。「Drunkship of Lanterns」や「Cicatriz ESP」などの代表曲では、彼の多彩なドラミングが曲の展開を導き、独特の緊張感と解放感を生み出しています。

その後、Jon TheodoreはQueens of the Stone Ageに加入しましたが、The Mars Voltaでの彼のパフォーマンスは今なおプログレッシブドラミングの金字塔として語り継がれています。テクニカルな面だけでなく、音楽全体の流れを理解した表現力豊かなプレイは、彼の最大の魅力と言えるでしょう。彼の残したレガシーは、後続のドラマーThomas PridgenやDave Eltchにも影響を与えています。

YouTubeでJon Theodoreのプレイをチェック → こちら

使用ドラムセット（シェル）一覧と特徴【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

Jon Theodoreは多彩なドラムセットを使い分け、The Mars Voltaでの独特のプレイスタイルを確立してきました。初期のMars Voltaツアーでは、Yamaha Vintage Maple Custom Absoluteを使用し、22×18インチのバスドラム、12×8インチのタムタム、16×16インチのフロアタムという構成で、メイプル材の温かみのある音色を活かしています。この頃のサウンドは繊細さと爆発力を兼ね備えたものでした。

さらにヴィンテージ志向が強く現れたのが60’s Gretsch Round Badge（24×14/13×9/18×16）と70’s Ludwigのビンテージドラムセット（24×14/13×9/16×16）です。どちらもメイプル材を使用しており、特にGretschのブルー・ソニック・サテンフィニッシュは視覚的にも印象的でした。これらのヴィンテージキットからは、温かみがあり太い音が特徴で、Mars Voltaの複雑な楽曲における有機的な要素を引き立てていました。

特筆すべきはBrady Jarrahドラムで、希少なジャラ材を使用した26×14/13×9/16×14の構成のカスタムキットです。このキットは密度の高い木材から生み出される深い低音とシャープなアタックが特徴で、Mars Voltaの実験的なサウンドに独特の個性を加えていました。その後Queens of the Stone Ageに移行した時期には、DW Collectorsシリーズ（24×18/13×9/16×16）のメイプルキットを採用し、よりロックに適したパワフルなサウンドを追求しています。

使用ドラムセット（シェル）機材表【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

使用スネアドラムの種類と特徴【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

Jon Theodoreは特にThe Mars Voltaでの活動時に複数のスネアドラムを使い分けていました。彼のメイン楽器といえるBrady Drum Companyのメイプル14×6は、コーテッドアンバサダーとカスタムスナッピーの組み合わせで、バンドサウンドの中核を担いました。一方、ライブでは重厚な音色のLudwigのBlack Beauty（ブラスシェル14×5）も重宝されており、コーテッドアンバサダーとスーパーセンシティブスナッピーによる絶妙なバランスが特徴です。

メタルシェルでは他にA&F Drum CoのSeamless Bronze（14×5）が深みのある音色で知られ、DWのHammered Bronze（14×6.5）はレモエンペラーXと42本スナッピーによるパンチの効いたアタックが特徴です。またLudwigのSupraphonic 402（アルミ14×6.5）は後にQueens of the Stone Ageでも使用され、汎用性の高さを示しています。

木製シェルではCraviotto MapleSシェル（14×5.5）も使用し、エバンスG1ヘッドと相まって温かみのある音色を実現しています。Theodoreはこれらのスネアを場面に応じて使い分け、プログレッシブロックからラテン風リズムまで、The Mars Voltaの複雑な音楽性を支える多彩な表現を可能にしていました。

使用スネアドラム機材表【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

使用シンバルの構成と種類と特徴【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）のJon Theodoreは、そのアグレッシブでダイナミックな演奏スタイルを支えるシンバルセットアップで知られています。彼のセットは主にZildjianの製品で構成され、KシリーズとAシリーズを組み合わせた独自のサウンドを作り出しています。特に16″のK Custom Sessionクラッシュのダークで艶やかな音色と18″のK Custom Dryクラッシュの速い減衰感が、バンドの複雑なリズムパターンに深みを与えています。

彼の選ぶ22″のK Custom Darkライドは、複雑なプログレッシブロックやポストハードコアの楽曲に不可欠な深みのある音色を提供します。また、15″のK Heavyハイハットは力強いチョップ音を生み出し、18″のA Customチャイナシンバルはエッジの効いた激しい音で、楽曲の激しい部分を強調します。これらにアタック感のある10″のA Customスプラッシュも加え、表現力を高めています。

Jon Theodoreのシンバル構成の特徴は、18″のA Customクラッシュの明るく鮮明な音色が、Kシリーズのダークで複雑な音色と絶妙に融合している点です。彼のセットアップは、Zildjianの多様なシリーズの特性を最大限に活かし、The Mars Voltaの実験的かつ複雑な音楽性を表現するのに最適な組み合わせとなっています。このバランスの取れた選択が、彼の個性的でダイナミックなドラミングスタイルを支えています。

使用シンバル機材表【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

使用ペダル・ハードウェアの構成と種類と特徴【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

Jon Theodoreは激しいプレイスタイルを支えるハードウェア選びにもこだわりを見せています。キックペダルにはPremier 7000 Seriesを使用し、そのパワフルかつレスポンシブな踏み感を活かして複雑なリズムパターンを表現。また、Pearl Eliminatorも使用しており、特に高速プレイに必要な調整機能を重視していました。

ハイハットスタンドにはDW 5000を採用し、The Mars Voltaの楽曲に見られる繊細なハイハットワークを高い安定性と滑らかな操作性で実現しています。シンバルスタンドにはGibraltarを多用し、激しいライブパフォーマンス中でも安定したセッティングを維持。DW 9000 Seriesのブームスタンドも使い、細かい角度調整が可能な点を活用していました。

スネアスタンドにはTAMA Roadproを選び、ツアーでの過酷な使用にも耐える堅牢さを重視。タムマウントにはRIMSマウントシステムを採用し、共鳴を妨げない設計によってサウンドの抜けの良さを確保しています。長時間にわたる複雑な演奏をサポートするドラムスローンとしてはROC-N-SOCを使用し、快適な座り心地を確保していました。

使用ペダル・ハードウェア機材表【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

使用スローン（椅子）＆スティック種類と特徴【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

Jon Theodoreは激しいプレイスタイルを支えるハードウェア選びにもこだわりを見せています。キックペダルにはPremier 7000 Seriesを使用し、そのパワフルかつレスポンシブな踏み感を活かして複雑なリズムパターンを表現。また、Pearl Eliminatorも使用しており、特に高速プレイに必要な調整機能を重視していました。

ハイハットスタンドにはDW 5000を採用し、The Mars Voltaの楽曲に見られる繊細なハイハットワークを高い安定性と滑らかな操作性で実現しています。シンバルスタンドにはGibraltarを多用し、激しいライブパフォーマンス中でも安定したセッティングを維持。DW 9000 Seriesのブームスタンドも使い、細かい角度調整が可能な点を活用していました。

スネアスタンドにはTAMA Roadproを選び、ツアーでの過酷な使用にも耐える堅牢さを重視。タムマウントにはRIMSマウントシステムを採用し、共鳴を妨げない設計によってサウンドの抜けの良さを確保しています。長時間にわたる複雑な演奏をサポートするドラムスローンとしてはROC-N-SOCを使用し、快適な座り心地を確保していました。

チューニング・サウンドメイク・EQの工夫と特徴【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

Jon Theodoreは、The Mars Voltaでの演奏時にスネアを高めにチューニングし、打面をやや強めに、裏面を中程度に張ることでアタックと抜けの良さを両立させていました。スネアには時に細いテープを1〜2本貼り、コントロールされた響きを実現。タムは打面を中高音域に調整し、裏面をやや緩めに設定することで、プログレッシブロックの複雑なパッセージでも明瞭な音像を保ちながらも温かみのある音色を生み出していました。

ミキシングでは、スネアに200Hz付近にブーストを入れて芯を強調し、3-5kHzのアタック感を上げることでパワフルかつ鮮明な音を実現。キックは60-80Hzの低域を持たせつつ、4kHz付近を強調してクリック感を出し、ゲートを軽く効かせて不要な響きを抑制。タムは400-600Hzをわずかにカットしてマッド感を減らし、ステレオ定位を広めに設定してスペーシーな音像を構築。全体に軽めのコンプ（比率3:1程度）をかけて一体感を持たせていました。

レコーディングでは、特にDeloused in the Comatorium録音時はルームマイクを効果的に使い、自然な空間系を活かした立体的なドラムサウンドを構築。一方ライブでは、より攻撃的なアタック重視の音作りとなり、スネアのリム周辺を強く叩くことで鋭いアタックを引き出し、キックにはアタックエンハンサー系のプロセッサーを使用して即応性を高めていました。Theodore特有の繊細かつダイナミックなプレイスタイルを引き立てるため、ゲーティングは最小限に留め、自然な減衰を残す工夫がなされていました。

比較的安価に音を近づける機材【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

Jon Theodoreのパワフルかつダイナミックなドラミングを再現するには、比較的大口径のバスドラムを持つキットがおすすめです。Yamahaの Vintage Maple Custom Absoluteは初期のThe Mars Voltaツアーで使用されていたもので、中古市場で手に入れることができれば本格的なサウンドに近づけます。特に22インチバスドラムと16インチフロアタムの組み合わせは、彼の迫力あるサウンドの基礎となっています。

より本格的に近づけるなら、Ludwigのビンテージドラムセットも選択肢の一つです。70’s Ludwigのメイプルキットは太くて暖かみのある音色を持ち、Jon Theodoreが好んだ24インチバスドラムの重厚感を体験できます。予算に余裕があれば、Gretschの60’s Round Badgeも彼のサウンドの特徴である豊かな倍音と深い共鳴を実現できる優れた選択肢となるでしょう。

初心者やコスト重視の方には、現行のYamahaメイプルキットに大口径バスドラムを組み合わせる方法もあります。Jon Theodoreは後にDW Collectorsを使用していますが、こちらはQueens of the Stone Age時代のものです。The Mars Volta時代の音に近づけるには、ヘッドの選択も重要で、フロントヘッドを外した24インチバスドラムと深めのタムセッティングが特徴的なサウンドを生み出す鍵となります。

比較的安価に音を近づける機材表【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

ライブセットアップについて【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

Jon TheodoreはThe Mars Voltaでのパフォーマンスで独特のドラムセットアップを確立していました。彼のステージ配置は通常、バンドの中心に位置し、Omar Rodriguez-LopezやCedric Bixler-Zavalaといったメンバーとの視線が合いやすい形で設置されていました。特徴的なのはフロアタムの高めの位置取りとライドシンバルの低めの配置で、彼の流動的かつダイナミックなプレイスタイルを最大限に引き出す工夫がなされています。

マイキングについては、スネアドラムに複数のマイクを使用し、上面と下面からの音を両方捉える手法を採用していました。キックドラムには内側と外側の両方にマイクを設置し、深みのある音を得ていました。また、オーバーヘッドマイクを高めに設置することで、彼の複雑なシンバルワークを立体的に録音できるセッティングが特徴的です。

代表的なライブ映像では、「Drunkship of Lanterns」や「Cicatriz ESP」などの曲での彼の圧巻のパフォーマンスが見どころです。特に長尺の曲での持久力と技術的な正確さ、そして即興的なセクションでのダイナミクスの使い方は必見です。彼のプレイスタイルの特徴である、ポリリズミックなパターンとラテン由来のグルーヴがライブで存分に発揮され、バンドのプログレッシブな音楽性を支える重要な要素となっています。

総括まとめ【The Mars Volta（ザ・マーズ・ヴォルタ）・Jon Theodore】

Jon Theodoreは独特のダイナミクスとグルーヴ感を持つ、The Mars Voltaの象徴的ドラマーだ。彼の演奏スタイルは、ジャズとラテンの影響を受けたポリリズミックなパターンと爆発的なパワーが融合したもので、バンドのプログレッシブなサウンドの根幹を形成していた。

Theodoreのサウンド再現には、深いチューニングのスネアと、豊かな倍音を持つライドシンバルが重要だ。しかし彼の真髄は機材よりも、繊細なゴーストノートとパワフルなアクセントを対比させる卓越したダイナミクスコントロールにある。この強弱の使い分けこそが、彼特有のグルーヴを生み出す鍵となっている。

結局のところ、Theodoreのようなプレイは特定の機材に依存するものではない。むしろ、あらゆるジャンルを横断する深い音楽的理解と、感情表現のためのテクニカルスキルが重要だ。彼のレガシーは、機材の選択よりも、音楽に対する姿勢とドラムという楽器の可能性の追求にこそ見出せる。

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