【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】風ドラムサウンドの作り方＋使用機材セッティングまとめ｜セット・スネア・シンバル・ペダル

関連記事

【米津玄師・堀正輝（サポート）】風ドラムサウンドの作り方＋使用機材セッティングまとめ｜セット・スネア・シンバル・ペダル

2025.10.23

【Andy Timmons Band（アンディ・ティモンズ・バンド）・Dan Wojciechowski】風ドラムサウンドの作り方＋使用機材セッティングまとめ｜セット・スネア・シンバル・ペダル

2025.11.28

【Motörhead（モーターヘッド）・Mikkey Dee】風ドラムサウンドの作り方＋使用機材セッティングまとめ｜セット・スネア・シンバル・ペダル

2025.11.19

【Bill Bruford】King Crimson（キング・クリムゾン） 始めに

Bill Brufordは、イギリスのプログレッシブ・ロックバンド「King Crimson（キング・クリムゾン）」の黄金期を支えた革新的ドラマーとして知られています。彼の特徴的なドラミングスタイルは、ジャズの影響を強く受けた複雑なリズムパターンと精密な技術、そして独創的なシンバルワークにあります。特に電子パーカッションの先駆者としても評価が高く、常に新しいサウンドを追求し続けました。

King Crimsonでの活動では、1972年から1974年の「Larks’ Tongues in Aspic」「Starless and Bible Black」「Red」という3枚の名盤に参加。これらのアルバムでは、複雑なポリリズムや予測不能な展開を生み出し、バンドの実験的な音楽性に欠かせない要素となりました。彼の緻密で知的なドラミングは、キング・クリムゾンの前衛的な音楽をさらに深化させる原動力となったのです。

代表曲「Larks’ Tongues in Aspic, Part One」や「Starless」では、繊細なニュアンスから爆発的なパワーまで、幅広いダイナミクスを表現。フレーズの隙間を効果的に使う独特のプレイスタイルは、単なる伴奏役にとどまらず、音楽の構成要素として重要な役割を担っています。キング・クリムゾンの複雑で前衛的な音楽性とBrufordの革新的ドラミングは、現在もなお多くのミュージシャンに影響を与え続けています。

YouTubeでBill Brufordのプレイをチェック → こちら

使用ドラムセット（シェル）一覧と特徴【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

Bill Brufordは、King Crimsonでの活動を含む長いキャリアを通じて複数のドラムセットを使用してきました。1970年代初期のKing Crimson時代にはGretsch USA Customのメイプルシェルを使用し、その後YESとの活動やKing Crimsonでは、Tamaの22インチのバスドラムにタムを組み合わせたRecording Customバーチシェルが特徴的でした。このセットは温かみのある深いサウンドを持ち、プログレッシブ・ロックの複雑なリズムパターンに最適でした。

1990年代に入るとTama Starclassicメイプルシェルへと移行し、より明るく輪郭のはっきりしたサウンドを追求。標準的な22インチバスドラム構成だけでなく、よりコンパクトな構成としてTama Compactoバーチセット（20インチバスドラム）も併用していました。また特筆すべきは、Bill Bruford専用にデザインされたTama Liquicentシリーズで、これは彼の独特なプレイスタイルに合わせた音色とレスポンスを提供しました。

のちにYamahaとも契約し、Hybrid（バーチ/メイプル混合）シェルを主にEarthworksでのジャズ志向の活動で使用。この時期は22インチバスドラムに加え、よりジャズテイストの音作りを重視していました。またProMarkとのコラボレーションでCrimson ProMarkシリーズも使用し、彼のシグネチャースティックとの相性を追求した独自のセットアップも確立。Brufordのキットは常に彼の革新的なドラミングスタイルと実験的なサウンド探求を反映したものとなっていました。

使用ドラムセット（シェル）機材表【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

使用スネアドラムの種類と特徴【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

ビル・ブルーフォードは長いキャリアで多様なスネアドラムを使い分けてきました。キング・クリムゾン在籍時には Ludwig SuperPhonic（メタル、14×5）をメインに使用し、そのパンチのある鋭いアタック音とクリアな音像が彼の複雑なリズムパターンを支えました。90年代には Premier Signia（メイプル、14×5.5）を愛用し、温かみのあるウッドトーンでありながらもクリアな分離感を実現していました。

ジャズ・フュージョン方面では、DW Collector’s Series（メイプル、14×5）の繊細で明るい音色を活かし、より細やかな表現を追求。また、Tama Artstar II（バーチ、14×6）は80年代後半に使用され、その深めのシェルからくるパワフルなサスティンと豊かな低域を特徴としていました。オーストラリア製の Brady Jarrah（ジャラ材、14×5.5）も独特の木の響きで彼のサウンドに個性を加えています。

晩年はご自身のブランドEarthworksで開発したメイプルスネア（14×5）を使用し、特殊な42本のスナッピーを採用することで複雑な倍音特性を引き出しました。ブルーフォードはどのスネアでも常にコーテッドヘッドを使い、繊細なダイナミクスを表現できる環境を整えていました。彼のスネア選択は、プログレッシブロックからジャズまで幅広いジャンルをカバーする多様性を象徴しています。

使用スネアドラム機材表【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

使用シンバルの構成と種類と特徴【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

プログレッシブ・ロックの巨匠Bill Brufordは、主にZildjianとPaisteのシンバルを愛用していました。Zildjian Kシリーズを中心に構成され、14″のK Light Hi-hatは1980年代から使用し、温かみのあるサウンドを生み出しています。メインのライドは22″のK Customで、クラッシュとしても活用する多機能性を持ち、複雑なポリリズムにも対応できる粒立ちの良さが特徴です。

エフェクト系では、10″のK Custom Splashで繊細なアクセントを付け、17″のK Custom Chinaで独特のエフェクト音を演出しています。また、Paisteからは21″のK Dry Complex Rideを使用し、そのドライで明瞭な音色はKing Crimsonの実験的な音楽性に完璧にマッチしています。

クラッシュ系では18″のPaiste 2002をKing Crimson在籍時に愛用し、そのブライトな音色がバンドのダイナミックな表現を支えました。さらに16″のPaiste Formula 602は若い頃から使用しているお気に入りで、繊細さと表現力を両立した音色が、Brufordの革新的なドラミングを特徴付けています。彼のシンバル選択は、テクニカルでありながらも音楽性を重視した独自のスタイルを反映しています。

使用シンバル機材表【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

使用ペダル・ハードウェアの構成と種類と特徴【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

Bill Brufordは時期によってペダル選びを変えており、初期はLudwig Speed Kingを好んで使用していました。特に初期プログレ時代のYesではそのレスポンシブな踏み心地を活かし、キングクリムゾン加入後はTama Camcoペダルを採用しました。その後のポップスタイル時代にはPremier 201を愛用し、より力強いプレイスタイルへと移行する際にはDW 5000を選択しています。

ハードウェア面ではYes時代にSlingerlandのハイハットスタンドを使用していました。スネアスタンドはLudwig Flat Baseのようなフラットベースタイプを好み、共鳴の妨げにならないセッティングを重視。タムマウントにはRIMS Mounting Systemを採用し、ドラムの自然な響きを確保していました。

後期には電子ドラムの実験的採用に伴い、Simmons Hardwareを使用。シンバルスタンドはGibraltarの頑丈なモデルを使用し、複雑なプレイスタイルに対応できる安定性を確保していました。イギリス製であるPremier Hardwareへの信頼も厚く、特にスネアスタンドではそのシンプルさと堅牢性が彼の繊細なプレイをサポートしていました。

使用ペダル・ハードウェア機材表【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

使用スローン（椅子）＆スティック種類と特徴【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

Bill Brufordは時期によってペダル選びを変えており、初期はLudwig Speed Kingを好んで使用していました。特に初期プログレ時代のYesではそのレスポンシブな踏み心地を活かし、キングクリムゾン加入後はTama Camcoペダルを採用しました。その後のポップスタイル時代にはPremier 201を愛用し、より力強いプレイスタイルへと移行する際にはDW 5000を選択しています。

ハードウェア面ではYes時代にSlingerlandのハイハットスタンドを使用していました。スネアスタンドはLudwig Flat Baseのようなフラットベースタイプを好み、共鳴の妨げにならないセッティングを重視。タムマウントにはRIMS Mounting Systemを採用し、ドラムの自然な響きを確保していました。

後期には電子ドラムの実験的採用に伴い、Simmons Hardwareを使用。シンバルスタンドはGibraltarの頑丈なモデルを使用し、複雑なプレイスタイルに対応できる安定性を確保していました。イギリス製であるPremier Hardwareへの信頼も厚く、特にスネアスタンドではそのシンプルさと堅牢性が彼の繊細なプレイをサポートしていました。

チューニング・サウンドメイク・EQの工夫と特徴【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

ビル・ブルーフォードはKing Crimson在籍時、革新的なドラムサウンドを追求しました。特にスネアドラムは高めのチューニングを施し、打面には適度な張りを持たせる一方、裏面はやや緩めに調整。スネアにはしばしばムーンジェルを一箇所だけ配置し、不要な倍音を抑えつつクリアなアタック音を確保していました。タムは電子音との融合を意識し、リムショットとオープントーンの中間的な響きを実現するため、打面を中高音域が強調されるよう張り、フロアタムには時にダンピングテープを使用していました。

ミックス処理においては、スネアは4-6kHz帯域を+3dB程度ブーストし、シャープさを引き出す一方、200Hz付近を若干カットしてモコモコ感を抑制。キックは60Hz前後を強調し、2-3kHzのアタック感を維持。サイバルは軽いコンプレッション（比率2:1程度）をかけつつ、10kHz以上の煌びやかさを保持。King Crimsonの複雑なポリリズムを明確に表現するため、各打楽器の定位を慎重に設計し、特にタムはステレオ空間にパンニングされています。

ブルーフォードのアプローチはライブとレコーディングで明確に異なります。スタジオワークでは300-500Hzの中低域を抑え、よりタイトで緻密なサウンドを追求。特に「Discipline」や「Beat」といったアルバムでは電子パーカッションとの融合を重視し、アコースティックドラムにもゲートをかけて残響を制御しました。一方ライブでは空間の響きを活かし、特にシンバルワークにおいて8-12kHzの高域を活かした開放的なサウンドを展開。この緻密かつ大胆なサウンドメイクが、King Crimsonの複雑な音楽構造を支える重要な要素となっています。

比較的安価に音を近づける機材【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

Bill Brufordの音を手頃な価格で再現するなら、Tamaのバーチシェルドラムセットがおすすめです。彼がKing Crimsonで使用したRecording Customモデルに似た音色を得るには、標準的な22インチバスドラム、10・12インチタム、14・16インチフロアタムの構成が基本となります。特にバーチ材の鳴りとアタック感は、Bruford特有の明瞭なドラミングを表現するのに適しています。

スネアドラムは彼が好んだメイプル製の14インチを選ぶと良いでしょう。Brufordは90年代以降Tamaの Starclassicシリーズを使用していましたが、より予算を抑えるならTamaの中級モデルでもメイプルシェルを選べば近い音作りが可能です。シンバルはYamahaやGretschとの組み合わせでも使われていた乾いた音のものを選ぶと、King Crimson時代の複雑なリズムパターンの再現に役立ちます。

バスドラムペダルは特にこだわらなくても、テクニカルな演奏に対応できる安定感のあるモデルを選びましょう。Brufordは小編成でもCompactoのようなコンパクトセットを使いこなしていたので、限られた予算内でもTamaの小～中口径構成で始めれば、彼の繊細かつダイナミックな表現に近づけます。シンプルなセッティングでも彼のプログレッシブな音楽性は十分に表現できるのです。

比較的安価に音を近づける機材表【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

ライブセットアップについて【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

Bill Brufordは1972年から1997年まで断続的に在籍したKing Crimsonで革新的なドラムセットアップを確立した。彼のセットは電子パーカッション（Simmons）とアコースティックドラムの融合が特徴で、ステージでは主にバンドの左側に配置された。特に80年代以降は「ダブルトリオ」編成時に、もう一人のドラマーPatrick Mastellottoと対称的な位置関係を取り、視覚的にもユニークな配置となっていた。

マイキングにおいては、各ドラムコンポーネントに個別マイクを設置する手法を採用。特にスネアドラムとタムには複数のマイクを配置し、彼特有の繊細なダイナミクスを捉えていた。電子パーカッション部分はDI接続されることが多く、生音と電子音のバランスを絶妙に調整していたのが特徴だ。この革新的なセットアップは当時のプログレッシブロックシーンに大きな影響を与えた。

代表的なライブ映像としては「Live in Japan 1995」が挙げられる。ここでは「THRAK」期の複雑なポリリズムと電子パーカッションの絶妙な使い方が見どころである。また「The Great Deceiver」収録の70年代のライブではアコースティックドラムでの繊細かつダイナミックな演奏を堪能できる。彼の独特なセッティングとプレイスタイルは、楽器の可能性を広げる実験的姿勢と高度な技術の融合を体現しており、現代のドラマーに多大な影響を与え続けている。

総括まとめ【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

ビル・ブルーフォードのドラミングの核は、その精密さとポリリズムの妙にある。キング・クリムゾン在籍時は、ロックとジャズの垣根を超えた複雑なリズムパターンを駆使し、時にはエレクトロニックパーカッションも取り入れることで、プログレッシブロックの新境地を切り開いた。

彼のサウンドを再現するポイントは、タイトで乾いたスネアサウンドと繊細なシンバルワークにある。特に70年代のクリムゾン時代はアコースティックとエレクトリックの融合が特徴的で、正確なゴーストノートとダイナミクスの幅広い表現が重要だ。

しかしブルーフォードは「音楽性は機材より演奏者の技術と感性にある」という姿勢を貫き、シンプルなセットアップでも複雑なフレーズを表現した。彼のアプローチは、道具に依存せず音楽的思考と技術を磨くことの重要性を教えている。

本記事参照サイト【King Crimson（キング・クリムゾン）・Bill Bruford】

本記事は下記公式サイト等を参照して作成しています。

• Drum Hakase – Bill Bruford
• Wikipedia – ビル・ブルーフォード
• AMASS Media