【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】風ドラムサウンドの作り方＋使用機材セッティングまとめ｜セット・スネア・シンバル・ペダル

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【Keith Moon】The Who（ザ・フー） 始めに

Keith Moon（キース・ムーン）は、1960〜70年代に活躍した伝説的ロックバンド「The Who（ザ・フー）」のドラマーとして知られています。彼のドラミングスタイルは極めて個性的で、従来のリズムキーパーという枠を超え、フィルやクラッシュシンバルを多用した爆発的で予測不能なプレイが特徴でした。その奔放さと創造性は、ロックドラマーの常識を覆すものでした。

「My Generation」や「Won’t Get Fooled Again」といった代表曲では、Keith独自の荒々しいドラミングが楽曲に独特のエネルギーと躍動感を与えています。特にタムを全面的に使用したアグレッシブなフィルインとダブルバスドラムの効果的な使い方は、多くのドラマーに影響を与えました。彼の演奏はテクニカルな正確さよりも、感情やエネルギーの表現を重視していました。

The Who（ザ・フー）は、Pete Townshend（ギター）、Roger Daltrey（ボーカル）、John Entwistle（ベース）とKeith Moonという4人の個性的なミュージシャンによって構成され、それぞれが主役級の存在感を放っていました。特にKeithの予測不能なドラミングは、バンドの爆発的なサウンドの核となり、ロック史に残る名盤「Tommy」や「Who’s Next」などの作品で、彼らの革新的な音楽性を支える重要な要素となりました。

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使用ドラムセット（シェル）一覧と特徴【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

Keith Moonは破壊的演奏スタイルで知られるThe Whoのドラマーとして、複数のドラムキットを使用してきました。代表的なのはPremier Blue Pearlで、1967年「Pictures of Lily」でデビューしたこの花柄ドラムは後に「Keith Moon Spirit of Lily」として限定復刻されました。Ludwigの Silver Sparkleは1960年代、Premier Silver Glitterは「Tommy」ツアーで使用し、輝くフィニッシュが彼の派手なパフォーマンスを視覚的に補完していました。

シェル構成は特徴的で、多くのセットで22インチのバスドラムと複数のタム、フロアタムを組み合わせていました。特にPremier Resonatorでは多数のタムを配置する特殊なセットアップを好み、音の広がりと音量を追求。Zickosの透明アクリルドラムは視覚効果も考慮した選択で、ステージ上での存在感を高めていました。

初期はRogers Londoner（メイプルシェル）を使用し、その後Premierとの長い関係を築きました。彼のドラムセットはバーチやメイプル素材が多く、明るく反応の良い音色と耐久性を兼ね備えていました。Moonのパワフルかつカオティックな演奏スタイルに対応できる強度と豊かな音色を持つドラムを選択したことが、The Whoのダイナミックなサウンド形成に大きく貢献しました。

使用ドラムセット（シェル）機材表【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

使用スネアドラムの種類と特徴【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

キース・ムーンはキャリアを通じて複数のスネアドラムを使い分けていました。初期にはPremier 2000の14×5インチウッドシェルを使用し、60年代にはSuper Ludwigのメイプル14×5インチモデルを愛用。このメイプルシェルは温かみのあるトーンと適度なアタック感を提供し、ザ・フーの初期サウンドを形作りました。

70年代に入るとPremier 2000の14×6.5インチモデルへ移行し、前半はウッドシェル、後半はメタルシェルを使用。特に深さが増したことで低音の豊かさとサスティンが向上し、20本のスナッピーワイヤーによる明瞭なレスポンスが特徴でした。Ludwig Super Sensitiveのブラスシェルモデルも使用し、その特徴的な鋭いアタックと豊かな倍音が彼の激しいプレイスタイルに適していました。

一時期愛用していたGretsch COBは14×5インチのブラスシェルで、コーテッドヘッドと20本のスナッピーワイヤーの組み合わせにより、シャープなアタックと華やかな響きを実現。キース・ムーンは状況に応じてこれらのスネアを使い分け、時にはメタルシェルの明るさ、時にはウッドシェルの温かみを活かし、ザ・フーの革新的なサウンドを支えました。

使用スネアドラム機材表【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

使用シンバルの構成と種類と特徴【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

キース・ムーンは初期にはPremierのSuper Zynシリーズを愛用していました。18インチと20インチのクラッシュシンバルを主に使い、20インチはストロークにアクセントをつける際に重宝し、18インチはキックドラムとの組み合わせで効果的に使用していました。14インチのハイハットも同シリーズを使っていた時期があります。

後期になるとPaisteの2002シリーズへと移行し、ライブでは特に20インチクラッシュを多用していました。このシリーズは彼の力強い演奏スタイルに合わせた選択で、18インチクラッシュも頻繁に使用。さらに22インチライドはサスティーンが長く音の伸びが特徴的で、ムーンの荒々しいドラミングに深みを与えていました。

エフェクト系シンバルとしては18インチのチャイナと10インチのスプラッシュも取り入れ、アクセントやクイックなフレーズで活用していました。これらの2002シリーズは全体的にブライトでパワフルな音色が特徴で、The Whoのエネルギッシュなサウンドとムーンの爆発的なプレイスタイルを支える重要な要素となっていました。

使用シンバル機材表【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

使用ペダル・ハードウェアの構成と種類と特徴【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

キース・ムーンはキャリア初期に Premier 2000 Series キックペダルを愛用し、そのシンプルなスプリング式デザインが彼の爆発的なプレイスタイルに適していました。後に Ludwig Speed King に切り替え、より反応の良いアクションを求めました。Zildjian Lightning Hi-Hat Stand の伝統的な直線的アクションは、彼の素早いフットワークをサポートし、Premier Flat Base Snare Stand と Premier Straight Cymbal Stand は、彼の激しいライブパフォーマンスに必要な頑丈さを提供しました。

彼のドラムセットには Rogers SwivOmatic Tom Holder が重要な役割を果たし、60年代に彼が好んだ機動性の高い可動式マウントシステムでした。Premier Round Base Cymbal Stand は丸型ベースによる高い安定性で知られ、彼の豪快なプレイ中でもシンバルの位置を維持しました。彼はラックシステムは使用せず、個々のスタンドを好み、それが彼独自の「全方位」的なドラミングスタイルの自由度を高めました。

Premier Concert Tom Mounting System は、キースが多用したコンサートタムのセットアップに不可欠でした。彼のハードウェア選択は純粋に機能性を重視したもので、彼の予測不能で激しいドラミングスタイルを可能にするために選ばれました。The Who のライブパフォーマンスの要求に応えるため、耐久性と信頼性を備えたハードウェアが必須でした。これらのハードウェアの組み合わせが、ロック史上最も革新的なドラマーの一人としての彼のレガシーを支えたのです。

使用ペダル・ハードウェア機材表【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

使用スローン（椅子）＆スティック種類と特徴【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

Keith Moonは初期にはPremier 2000 Seriesのキックペダルを愛用していました。シンプルなスプリング式デザインで、彼の激しいプレイスタイルに合致したレスポンスの良さが特徴でした。後期にはLudwig Speed Kingへと移行し、より細かなコントロールを実現しています。ハードウェアではZildjian Lightning Hi-Hat Standの直線的アクションを好み、Premier Straight Cymbal Standの頑丈な構造が彼の激しいライブパフォーマンスを支えていました。

タム類のセッティングではRogers SwivOmaticタムホルダーを60年代に愛用し、高い可動性と自由なポジショニングを実現していました。後にはPremier Concert Tom Mounting Systemへと移行し、特にライブでの安定性を重視。Premier Flat Base Snare Standのコンパクトなデザインが彼の複雑なセットアップ内での省スペース化に貢献していました。

シンバルセッティングではPremier Round Base Cymbal Standを採用し、丸型ベースによる安定性の高さが特徴でした。ムーンはラックシステムは使用せず、各スタンドを独立して配置する伝統的なセッティングを好みました。彼の破壊的な演奏スタイルには、Premier製品の頑丈さが必須だったと言えるでしょう。各ハードウェアは彼の激しいプレイスタイルに対応できる耐久性を備えていました。

チューニング・サウンドメイク・EQの工夫と特徴【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

Keith Moonは高めのチューニングを好み、特にタムは開放的な響きを重視していた。バスドラムは打面のミュートを最小限に留め、パンチ感と同時に低域の豊かな共鳴を引き出していた。スネアは14インチを愛用し、打面をやや強めに張り、裏面はミディアムテンションで調整。テープやムーンジェルなどのミュート材は極力使用せず、ドラム本来の倍音を活かすアプローチを取っていた。これにより60〜80Hzの低域と3kHz〜5kHzのアタック感が両立する特徴的なサウンドを生み出した。

ミキシングにおいては、80〜100Hzの低域を強調したバスドラム、1.2kHz〜2kHzのボディ感と4kHz〜6kHzのスナッピーサウンドが際立つスネアが特徴的だった。コンプレッションは緩やかな設定（アタック10ms前後、レシオ4:1程度）で、ドラムの自然なダイナミクスを保ちながらも一定のパンチ感を維持。ゲートはタムに軽く使用し、不要な鳴りを抑制しつつもテイル部分を活かすよう調整。空間的な配置では、オーバーヘッドをステレオで広く取り、立体感を強調していた。

ライブではアタックを強調するため、スネアは2dB程度高めに、シンバルは7kHz〜10kHzを1〜2dB持ち上げる傾向があった。一方レコーディングでは、特に『Who’s Next』や『Quadrophenia』の制作時には、残響を適度に残しつつも150Hz付近のミッドローをやや抑えてクリアさを確保。ルームマイクを効果的に使い、ドラムの立体感と空気感を出すことで、Moonの爆発的なプレイスタイルの臨場感を捉えていた。この緻密なサウンドメイクが、彼の破壊的なドラミングとパラドキシカルに共存する要因となっていた。

比較的安価に音を近づける機材【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

キース・ムーンのダイナミックな演奏スタイルを再現するには、Premier や Ludwig のメイプルキットが理想的です。特に Premier Blue Pearl のような大口径タム構成（16インチや18インチフロアタム）がムーン特有の豊かな低音を生み出します。予算を抑えるなら、一般的なメイプルシェルのキットに16インチ以上の大型フロアタムを追加することで、かなり近いサウンドが得られるでしょう。

シンバルセットアップは派手で爆発的なサウンドが特徴で、Premier Keith Moon Spirit of Lily モデルを参考にするとよいでしょう。複数のクラッシュシンバルを配置し、やや厚めのものを選ぶことでムーン風の華やかさが表現できます。特に「Tommy」ツアーで使われた Premier Silver Glitter のセットアップを参考にすると、映える音作りができるでしょう。

ドラムヘッドは張り気味にチューニングし、バスドラムは低めに調整するのがポイントです。Rogers Londoner や Zickos Clear Acrylic のようなヴィンテージ感のある音色を目指すなら、コーテッドヘッドを使用しましょう。また Ludwig Silver Sparkle キットのようなメイプルシェルドラムを選び、やや大きめのスネアを使用することで、The Who の代表曲で聴かれる特徴的なサウンドに近づけることができます。

比較的安価に音を近づける機材表【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

ライブセットアップについて【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

Keith Moonのドラムセットは、パワフルな演奏スタイルを反映して、ステージ上で目立つ位置に配置されていた。通常、彼のドラムキットはセンターステージからやや右寄りに設置され、ロジャー・ダルトリーとピート・タウンゼントの間から観客に見えるよう配慮されていた。大型のドラムセットを使用していたため、バンドメンバーとの距離感を保ちながらも、存在感を放つポジショニングが特徴的だった。

マイキングについては、キックドラムに1本、スネアに1本、そしてオーバーヘッドとして2〜3本のマイクを使用する比較的シンプルなセッティングを採用していた。1960〜70年代のPA技術の制約もあり、現代の細かなマイキングとは異なり、Moonのダイナミックな演奏を全体的に捉えることを重視していた。彼の激しい演奏スタイルに対応するため、マイクはしっかりと固定され、飛び散る汗や激しい動きにも耐えられるように設置されていた。

代表的なライブ映像としては、1970年のIoW（Isle of Wight）フェスティバルや1969年のウッドストックのパフォーマンスが挙げられる。特にIoWでのライブでは、”My Generation”の演奏中、ドラムスティックを上空に放り投げたり、ドラムを叩きながら立ち上がったりする彼の型破りなパフォーマンスが見どころ。また、1975年のザ・フーの「トミー」映画のサウンドトラック録音セッションでは、ムーンのエネルギッシュな演奏と驚異的なスタミナが垣間見られ、彼の独創的な演奏スタイルを理解する上で貴重な資料となっている。

総括まとめ【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

Keith Moonのドラミングは、常識を打ち破る独創的なプレイスタイルで、The Whoのサウンドの核を形成しました。彼はテクニックよりも感情表現を重視し、「ストーリーテラー」として曲の展開に合わせた予測不能な演奏で聴衆を魅了しました。このカオス的でありながら緻密なアプローチがThe Whoのエネルギッシュなパフォーマンスを支えました。

Moonのスタイルを再現するには、ダブルバスドラムを使ったフィルイン、タムとシンバルを多用した装飾的なプレイ、そしてフレーズの枠にとらわれない自由なリズム展開が鍵となります。特にスネアの鋭いアタックとクラッシュシンバルの豊かな音色が彼の特徴的なサウンドを生み出す重要な要素です。

しかし、Keith Moonの真髄は機材ではなく、音楽への姿勢にあります。彼は常に楽曲の感情と一体になり、技術的な正確さよりも音楽的な表現を優先しました。このような「音楽をまず感じる」アプローチこそが、特定の機材に依存せずとも彼のエッセンスを取り入れる鍵となるでしょう。

本記事参照サイト【The Who（ザ・フー）・Keith Moon】

本記事は下記公式サイト等を参照して作成しています。

• Wikipedia – キース・ムーン
• uDiscover Music – キース・ムーン：ザ・フーのドラマー、その生涯と遺産
• The Who Japan – キース・ムーン