【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】風ドラムサウンドの作り方＋使用機材セッティングまとめ｜セット・スネア・シンバル・ペダル

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【Bill Ward】Black Sabbath（ブラック・サバス） 始めに

Bill Wardは、ヘヴィメタルの先駆者Black Sabbathの創設メンバーであり、独特のドラミングスタイルで知られるドラマーです。彼のパワフルでダイナミックな演奏は、バンドの重厚な音楽性を支える重要な要素となりました。ジャズの影響を受けた自由なフィルインやスイングの効いたグルーヴが特徴で、テンポの変化やシンコペーションを巧みに取り入れたプレイは、ヘヴィメタルドラマーの先駆的存在として高く評価されています。

「Paranoid」や「Iron Man」といった代表曲では、彼の力強いキックとスネアのコンビネーションが楽曲の重みを増し、Tony Iommiのリフとの絶妙な相性を見せています。また「War Pigs」では、複雑なリズムパターンと繊細なシンバルワークが楽曲に深みを与え、Black Sabbathのダークでヘヴィな世界観を表現することに成功しました。Black Sabbathの音楽は、彼の創造的なドラミングなしには完成しなかったと言えるでしょう。

Ward特有の「鳴らす」ドラミングは、特にライブパフォーマンスで真価を発揮し、正確なタイミングと共に感情的で表現力豊かなプレイを披露しました。初期のヘヴィメタルサウンド構築において、彼のドラミングはGeezer Butlerのベースラインと完璧に噛み合い、Black Sabbathの独自のサウンドを形作る重要な役割を果たしました。Ward無しには、ヘヴィメタルのサウンドは今日のような発展を遂げなかったかもしれません。

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使用ドラムセット（シェル）一覧と特徴【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

Bill Wardは1960年代、Premier社の3-Ply Birchドラムセット（22×14/13×9/16×16/18×16）をメインに使用していました。バーチ材の温かみのある音色と反応の良さが、初期Black Sabbathのヘヴィな音楽性を支えていました。また初期のライブではLudwig社のShaftesbury-Era（22×14/13×9/16×16）というメイプルドラムを使用し、パンチのある音で観客を圧倒しました。

1970年代後期になると、Ludwig社のStainless Steelキット（22×14/13×9/16×16）を採用。ステンレススチール製のシェルは明るく鋭い音色と強い投射性を持ち、大きなステージでも存在感を放ちました。また特徴的なLudwig Vistaliteも使用。このアクリル製の透明ドラムセット（26×14/14×10/18×16）は大口径のバスドラムを備え、視覚的にも印象的でした。

さらにPremierの赤いスパークルフィニッシュが特徴的なRed Sparkle（22×14/13×9/16×16）も愛用。メイプル/ポプラ構成のこのキットは中低音が豊かで、バンドのダークな音楽性を補完するのに最適でした。Wardはこれらのドラムを曲調や会場に合わせて使い分け、Black Sabbathのリズムセクションを多彩な音色で彩りました。

使用ドラムセット（シェル）機材表【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

使用スネアドラムの種類と特徴【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

ビル・ウォードがブラック・サバスで主に使用したスネアドラムは、メインとして1970s Supraphonicがある。このLudwig製アルミ/メタルシェルの14×5.5インチスネアは、コーテッドヘッドと20本のスナッピーワイヤーにより、初期サバスのサウンド形成に大きく貢献した。また、Premier 2000（メイプル14×6インチ）も愛用し、イギリス製ならではの温かみのある響きと適度なアタック感を作り出していた。

重要なレコーディングでは、「パラノイド」録音時にEarly 70s Rogersのウッド製14×6.5インチスネアを使用。20本のスナッピーワイヤーと相まって、重厚かつ力強い音像を実現した。また、Ludwig Black Beauty（ブラス/真鍮14×6.5インチ）も時折使用し、24本のスナッピーワイヤーによる明瞭なアタックと豊かなサスティンが特徴的だった。

1970年代には、Trixon Luxusの木製14×5.5インチスネアも使用していた。さらに、メーカー不明のOld Wooden Snare（ウッド14×5インチ）も使用しており、16本という比較的少ないスナッピーワイヤー数で、より空気感のあるヴィンテージサウンドを生み出していた。これらの多様なスネア選択が、ヘヴィメタルの礎を築いたサバスの独特なドラムサウンドを形成した。

使用スネアドラム機材表【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

使用シンバルの構成と種類と特徴【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

Black Sabbathのドラマー、Bill Wardは重厚感のあるZildjian Avedisシリーズを愛用していました。彼の基本セットには15″ハイハットが含まれており、アコースティックでブライトな音色がバンドのヘヴィな音楽性を支えていました。また20″ Rideシンバルは1970年代のヘヴィロックに最適な鳴りを持ち、Black Sabbathの代表曲で重要な役割を果たしています。

Wardのクラッシュシンバル構成は16″と18″のAvedis Zildjianを組み合わせたセットが特徴です。18″クラッシュはパワフルな音色でバンドのヘヴィなサウンドを強化し、16″クラッシュはクイックなアタックとデケイを持ち、曲の転換部分などでアクセントとして活用されていました。

さらに彼は18″ Chinaシンバルをエフェクト用として使用し、Black Sabbathの不気味で独特な雰囲気を演出するのに役立てていました。また10″ Splashシンバルもセットに加え、繊細なアクセントを付ける場面で活用。これらZildjian Avedisシリーズのシンバルが、ヘヴィメタルの先駆者としてのBlack Sabbathのサウンド形成に大きく貢献したのです。

使用シンバル機材表【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

使用ペダル・ハードウェアの構成と種類と特徴【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

Bill Wardは初期Black Sabbathの録音やライブでLudwig Speed Kingキックペダルを使用していました。このビンテージモデルは直接的なレスポンスと、重厚なサウンドを生み出す踏み心地が特徴で、Wardの力強いプレイスタイルを支える重要な要素となっていました。Rogers Hi-Hat Standは1970年代の録音で使われ、安定したテンションコントロールによりWardの繊細なハイハットワークを可能にしていました。

シンバルセッティングにはLudwig Flat Base Cymbal Standを採用し、その安定性と高さ調整機能により、Wardは自由度の高いプレイが実現できました。スネアドラムのセッティングにはSlingerland Snare Standを使用し、クラシックな設計ながら強固な安定性を提供しました。Rogers Tom Holdersはタムの配置を正確に固定し、Wardの複雑なフィルインをサポートしていました。

Premier Throneは長時間のセッションやツアーでも快適性を保ち、Wardのパフォーマンスの持続性に貢献していました。セッティング全体の調整にはLudwig Tuning Keyを使用し、バンドの暗く重厚なサウンドに合わせたチューニングを実現していました。これらのハードウェアは、Black Sabbathのヘヴィな音楽性とWardの個性的なプレイスタイルを支える重要な要素だったのです。

使用ペダル・ハードウェア機材表【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

使用スローン（椅子）＆スティック種類と特徴【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

Bill Wardは初期Black SabbathのドラミングでビンテージモデルのLudwig Speed Kingキックペダルを愛用していました。このペダルは直接的な踏み心地と素早いレスポンスが特徴で、Wardの力強く正確なキック音を支えていました。また1970年代の録音ではRogers Hi-Hat Standを使用し、安定したハイハットワークを実現していました。

スネアドラム周りではSlingerland Snare Standのクラシックな設計を活かし、シンバルセッティングにはLudwig Flat Base Cymbal Standを採用。このスタンドは安定性と高さ調整の自由度が高く、Wardのダイナミックなシンバルワークを可能にしました。タム配置にはRogers Tom Holdersを使用し、自身のプレイスタイルに合わせた最適な配置を維持していました。

長時間のライブパフォーマンスではPremier Throneを使用し、快適性を確保していました。また、サウンドの微調整にはLudwig Tuning Keyを活用し、楽曲ごとに異なるチューニングを施していました。これらのハードウェア選択がWardの独特なドラミングスタイルと、初期Black Sabbathの重厚なサウンド形成に貢献したのです。

チューニング・サウンドメイク・EQの工夫と特徴【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

Bill Wardは、Black Sabbathのヘヴィなサウンドを支えるため、打面にはリモを適度に締め、裏面にはテープを小さく貼ることで低音の締まりと同時にサステインを確保していました。特にスネアではムーンジェルを1〜2個使用し、不要な倍音を抑制しながらも、トムではより自然な響きを残すためミュート処理を控えめにするという使い分けが特徴です。この工夫がTony IommiのギターやGeezer Butlerのベースとの絶妙なバランスを生み出しました。

ミックス面では、キックドラムの60〜80Hz帯を持ち上げつつ、200Hz前後をわずかに削ることで芯のある低音を確保。スネアには1.2kHz〜3kHz付近にブーストを入れ、アタック感を強調する一方、コンプレッサーは比較的緩めの設定（4:1程度、アタックは中速）で自然なダイナミクスを残しています。空間的には、トムは左右に広がりを持たせつつも、ハイハットは若干右寄りに定位させ、キックとスネアは中央に据えることで安定感を演出しました。

レコーディングとライブでは明確な使い分けがあり、スタジオでは比較的ドライなサウンドを基本に、400Hz前後のミッドレンジを削ることで各楽器の分離を重視。一方ライブでは、会場の響きを考慮して200〜300Hz帯をやや抑え、アタック感を高めるために5kHz付近をブーストしています。特に初期のアルバム『Paranoid』や『Vol.4』では、リバーブを控えめにしたドラム録音手法が採用され、後のヘヴィメタルドラミングの基準となるタイトで力強いサウンドの礎を築きました。

比較的安価に音を近づける機材【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

Black Sabbathのビル・ワードサウンドを手頃な価格で再現するなら、メイプル素材のドラムセットがおすすめです。初期Black Sabbathのライブで使われていたLudwigのShaftesbury-Eraシリーズを参考に、22×14のバスドラム、13×9のタム、16×16のフロアタムという構成が基本となります。中古市場でメイプルシェルのドラムセットを探すことで、比較的安価にあの重厚なサウンドに近づけることが可能です。

シンバルとスネアにこだわることも重要で、特にスネアはLudwigのメタルスネアを選ぶとビル・ワードのパンチの効いた音に近づけます。1970年代後期に彼が使用していたLudwig Stainless Steelシリーズのような金属系スネアは、現在の中古市場でもリーズナブルな価格で見つかることがあります。シンバルは太めの音が特徴なので、厚めのライドシンバルを選ぶとヘヴィなサウンドを作れます。

ライブでの見た目も再現したいなら、LudwigのVistaliteのようなアクリル素材のドラムセットも選択肢になります。特に26×14のビッグなバスドラムは迫力がありますが、入手が難しい場合はPremierのRed Sparkleのような目を引くフィニッシュのドラムセットでも雰囲気を出せます。ペダルは比較的シンプルなものでも問題なく、むしろヴィンテージ感のあるペダルの方がビル・ワードのプレイスタイルに合うでしょう。

比較的安価に音を近づける機材表【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

ライブセットアップについて【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

ビル・ワードはブラック・サバスのオリジナルドラマーとして、ステージ中央後方に配置されることが多かった。初期のライブでは比較的シンプルなセットアップで、バスドラム、スネア、タム2〜3台、フロアタム、ハイハット、クラッシュとライドシンバルという構成が基本だった。マイキングについては、1970年代のライブではオーバーヘッドマイク2本とバスドラム、スネアに個別マイクを設置する比較的シンプルな方式が採用されていた。

特筆すべきは、ワードのドラムセットが比較的小規模ながら、パワフルで表現力豊かなプレイを可能にしていた点である。彼のセットアップはトニー・アイオミのギターアンプやギーザー・バトラーのベースアンプとのバランスを考慮して配置され、バンド全体のヘヴィなサウンドを支える役割を担っていた。ライブではオジー・オズボーンの後方、ギターとベースのプレイヤーに挟まれる形で演奏することが多かった。

代表的なライブ映像としては、1970年のパリ公演や「California Jam ’74」が挙げられる。これらの映像では、ワードの繊細かつパワフルなドラミングと同時に、ダイナミックな表情変化が見られる。特に「War Pigs」や「Iron Man」などの演奏では、ワードのジャズの影響を受けたフィルインやタイミングの取り方が際立っており、ヘヴィメタルの礎を築いたドラマーとしての技術と存在感を確認できる貴重な資料となっている。

総括まとめ【Black Sabbath（ブラック・サバス）・Bill Ward】

Bill Wardの音作りの核は、ヘビーかつオーガニックなサウンドにある。彼のプレイスタイルはジャズの影響を受けながらも、ブラック・サバスの重厚なサウンドを支える独自の強靭さと表現力を持ち合わせていた。ダイナミクスの幅広さと自由なフレージングが特徴だ。

再現する上で重要なのは、深くチューニングされたスネアドラム、ダークで重厚感のあるシンバルの選択、そして適度に緩いチューニングのタムだ。特にスネアはやや低めでファットなサウンドを目指すべきで、シンバルはライドやハイハットの独特なリズムパターンが曲を特徴づけている。

しかし、Ward自身が示すように機材に依存しすぎないことが重要だ。彼は基本的なセットアップから最大限の表現力を引き出した。テクニックと感情表現を重視し、素手でのプレイも取り入れるなど、機材よりも音楽性とフィーリングを大切にする姿勢こそが、彼のドラミングの本質といえる。

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